【最近の課税事例】バンダイナムコホールディングス、東京国税局から移転価格指摘を受け更正通知書を受領

2025年6月末に、ゲーム・エンタメ事業を展開するバンダイナムコHD が、東京国税局からデジタル事業における日仏間取引につき、移転価格税制に関する更正通知書を受領したと報じられています。なお、当該構成通知の内容には、移転価格以外の課税項目も含まれることが公表されています。

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概要

  • 東京国税局の調査により、フランスの国外関連者との取引に関する価格設定やコスト配賦が問題視され、移転価格税制上の修正が指摘されたものと見られます。
  • 更正通知書は 2025年6月27日付 で発出され、6月30日に同社が受領。追徴課税金額は地方税等を含め約69億97百万円と試算されています。但し、当該金額は試験研究費の税額控除処理等、移転価格以外の指摘事項に関する課税額も含むものとされています。
  • 移転価格に関する課税部分については、納税者側は正当性を主張しており、上記更正処分等の額うち、移転価格課税に係る2,114百万円を2026年3月期に一旦は計上するものの、日仏二国間の相互協議にて解決を図る姿勢です。

近年の移転価格調査・課税には少額事案が多い中にあっては珍しく、大手をターゲットにした相当規模の課税事案になりました。ゲームなどを手掛けるデジタル事業に関する事案とのことで、見解の相違が生じやすい部分での課税事案であったことが推察されます。

なお、同社のグローバル展開の歴史は長く、2010年6月にもフランス子会社との間の取引について3期分の取引につき、更正処分を受けていました。しかし、今回同様、その後はフランスとの相互協議を申し立て、当該事案については晴れて両国で減額更正される格好で合意に至ったことが公表されています。

同社の場合、業界大手の上場企業であり、過去の経験もあって、移転価格の設定方針の策定や、継続的な文書化・管理、調査での説明などもしっかりとされているはずです。それでもなお、課税に至るわけですから、やはりデジタル分野、特にゲームコンテンツなど、無形資産(IP)が関係するような分野では移転価格対応のかじ取りがいかに難しいかが伺い知れます。

とはいえ、この事例でも、事前ないし調査での対応により課税額は抑制されているもとと思われます。本件では相互協議の選択肢が取られましたが、中小企業にあっては、人的・資金的な余裕がない場合も多く、相互協議が現実的ではないことも多いのが実情かと思います。したがって、中小企業こそ、早期に移転価格のポリシーや管理体制を確立し、関連契約・文書等を整備しておくことが重要であると感じます。

参考文献等

バンダイナムコホールディングスHP(プレスリリース)「東京国税局からの更正通知書受領のお知らせ」 (2025年7月1日)

バンダイナムコホールディングスHP(プレスリリース)「移転価格課税に基づく更正処分に係る日仏相互協議の合意について」 (2015年3月9日)

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