最近の動向

スイスでは、移転価格税制に関する立法上の大きな変更は行われていませんが、スイス連邦税務局が2024年に初の包括的な移転価格に関する見解書を公表し、あわせて英語・ドイツ語・フランス語に対応した専用ウェブサイトを開設しました。
これにより、スイスにおける移転価格実務の考え方やOECDガイドラインとの関係性が明確化され、複数の州税務当局においてもSFTAの方針に沿った実務運用が進められています。
基本情報
税務当局
移転価格税制は関連者間取引に適用されますが、スイス税法には「関連者」を定義する包括的な法定規定は存在しません。もっとも、SFTAの見解書では、関連者の概念はOECDモデル租税条約第9条およびOECD移転価格ガイドラインに基づいて解釈されることが明示されています。
具体的には、以下のような関係が想定されています。
- ある事業体が他の事業体の経営・支配・資本に直接又は間接的に関与している場合(親子会社関係)
- 同一の事業体が複数の事業体の経営・支配・資本に直接又は間接的に関与している場合(兄弟会社関係)
また、スイス連邦裁判所の判例においても、取引条件が独立企業原則から逸脱している場合には、取引当事者間に支配または実質的影響力が存在する、すなわち関連者である可能性を示す重要な要素になるとされています。
移転価格税制の対象取引
UAEの移転価格税制は、関連者(Related Parties)間で行われる取引を対象とします。関連者の定義は、OECD諸国と比較して広く設定されている点が特徴であり、法人間の持分・支配関係に加え、個人とその一定範囲の親族(血族・姻族を含む)との取引も、要件を満たす場合には関連者間取引として扱われます。
OECDとの協調状況
OCDガイドライン等への準拠状況
スイスはOECD加盟国であり、基本的に準拠している。
OECD/G20 BEPS包摂的枠組(IF)の参加国かどうか
Yes
MCAAへの署名状況
Yes
文書化制度の概要
スイスは、BEPS行動13に基づく国別報告書(CbCR)の提出および自動交換に関する最低基準を採用しています。一方で、マスターファイルおよびローカルファイルについては、法定の作成・提出義務は設けられていません。
もっとも、税務調査においては、関連者間取引が独立企業原則に従っていることを納税者が合理的に説明・立証することが求められるため、実務上はOECDに沿ったローカルファイルに準ずる移転価格文書を整備しておくことが強く推奨されています。
文書化規定の概要は下表の通りです。
CbCR
| 制度の有無 | 有 |
|---|---|
| 通知の要否 | 要 |
| 報告期限 ※報告対象期間の最終日を基準とした場合 | 12カ月以内 |
| 代理親会社による提出の可否 | 可 |
| 罰則の有無 | 有 |
MF
| 制度の有無 | 無 |
|---|---|
| OECD形式で充足するか | – |
| 作成等の要請 | – |
| 罰則等の有無 | – |
LF
| 制度の有無 | (実質)有 |
|---|---|
| OECD形式で充足するか | 完全充足 |
| 作成等の要請 | 提供(準備) |
| 罰則等の有無 | 無 |
なお、各文書において求められる記載内容は概ねOECDフォーマットと同様です。ただし、ローカルファイルについては、一定の国内取引も対象になる点について留意が必要です。

