スペイン Spain– 各国の移転価格税制 –

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最近の動向

近年、スペインでは移転価格に関する大規模な法改正は行われていないものの、税務当局による多国籍企業に対する調査は、内資・外資を問わず、一層強化されています。
スペイン国税庁(AEAT)は、年次総合税務監査計画において、事業再編、無形資産、グループ内役務提供、金融取引などを重点的なリスク領域として位置付けています。

特に近年の調査では、特定の事業形態・手法が問題視されることが多く、以下のような観点で調査が行われてきたと言われています。

  • 取引の機能的性質の再構築(例:キャッシュプールのリーダーを限定リスクのサービス提供者と再定義するケース)
  • 形式と実態の乖離

また、AEATは「360°戦略」と呼ばれる包括的アプローチを推進しており、移転価格事前確認(APA)、相互協議(MAP)、共同調査、国際コンプライアンス確認プログラム(ICAP)、EUにおける協調的コンプライアンスの枠組み等を相互に連携させ、保有情報を横断的に活用することで、移転価格リスクの早期把握と紛争予防を図っています。

基本情報

税務当局

  • スペイン国税庁(Agencia Estatal de Administración Tributaria、 AEAT)
  • スペイン税務総局(Dirección General de Tributos、DGT)

移転価格税制の対象取引

スペインの移転価格税制は、関連者間で行われる取引に適用されます。
法人税法(LIS)では、関連者の範囲を広く定義しており、法的支配関係に加え、経済的・人的関係も考慮されます。
主に以下のような関係がある者は関連者とみなされます。

  • 事業体とそのパートナーまたは株主
  • 事業体とその取締役(ただし、職務に対する報酬の支払いのみでは関連当事者とはならない)
  • 事業体と、そのパートナー・株主・取締役または管理者の三親等以内の親族
  • 同一の商業グループに属する事業体(この場合における事業体と他の事業体の取締役も含む)
  • 一方が他方の資本または持分の25%以上を直接または間接に保有する事業体
  • 同一の個人またはその親族が、25%以上の持分を有する複数の事業体
  • スペイン法人とその外国に所在する恒久的施設(PE)、およびPE間取引

OECDとの協調状況

OCDガイドライン等への準拠状況

OECD加盟国であり、概ね準拠している。

OECD/G20 BEPS包摂的枠組(IF)の参加国かどうか

Yes

MCAAへの署名状況

Yes

文書化制度の概要

スペインは、移転価格文書化に関してBEPS行動13を適用しており、文書化規定の概要は下表の通りです。

CbCR

制度の有無
通知の要否
報告期限
※報告対象期間の最終日を基準とした場合
12カ月以内
代理親会社による提出の可否N/A
罰則の有無

MF

制度の有無
OECD形式で充足するか概ね充足
作成等の要請同時文書化+提供(準備)
罰則等の有無

LF

制度の有無
OECD形式で充足するか概ね充足
作成等の要請同時文書化+提供(準備)
罰則等の有無

なお、OECDフォーマットとの比較において、CbCRは実質的に同一であり、特段相違は有りません。マスターファイルについても、概ね同一の構成・内容が求められていますが、比較的具体的な記載が期待されていると言われています。
ローカルファイルについてもOECDフォーマットと相当程度整合しているものの、一部の事項については、より明示的かつ詳細な情報の記載が求められます。具体的には、関連者間取引の相手方に関する識別情報、5つの比較可能性要因に基づく比較可能性分析などが求められます。

参考資料等

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