フィリピン Philippines– 各国の移転価格税制 –

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最近の動向

RMC 54-2021で提供された主な明確化は以下の通りである。
フィリピンでは、移転価格リスク評価および税務監査機能の強化を目的として、フィリピン内国歳入庁(BIR)がRevenue Regulations(RR)No. 19-2020を公布し、関連当事者間取引を有する納税者に対し、BIR Form 1709(Related Party Transactions Form)の提出を義務付けました。
その後、RR No. 34-2020により、Form 1709の提出が求められる納税者の範囲や、移転価格文書化が必要となる重要性の閾値が明確化され、実務上のコンプライアンス負担に配慮した制度設計がなされています。
さらに、BIRはRevenue Memorandum Circular(RMC)No. 54-2021を発行し、Form 1709および移転価格文書化要件に関する実務上の解釈を明確化しました。主なポイントは以下のとおりです。

  • 関連当事者間取引が独立企業原則(ALP)に従っていることの立証責任は納税者にあること
  • Form 1709の提出義務や金額基準を満たさない場合であっても、ALPへの準拠を裏付ける十分な文書を保持する必要があること
  • 商品・サービス・ロイヤルティ等の重要性の閾値は、関連当事者ごとに判定されること
  • 移転価格文書はフィリピン・ペソ(PHP)ベースで作成する必要があること
  • 大口納税者(Large Taxpayer)の該当性は、内国歳入庁長官(CIR)の指定および通知に基づくこと
  • Form 1709上の「営業損失」は、税法上の事業収入と控除額に基づき算定される概念であること

このように、フィリピンの移転価格税制では、Form 1709による情報開示と、独立企業原則に基づく実質的な説明責任が強く求められており、形式的な提出要件を満たすだけでは十分ではありません。関連者間取引を行う企業にとっては、取引実態を踏まえた継続的な文書化体制の整備が不可欠となっています。

基本情報

税務当局

内国歳入庁(Bureau of Internal Revenue、BIR)

移転価格税制の対象取引

  • 当該事業体は、報告対象事業体または報告事業体に関連する事業体の従業員の利益のための退職後給付計画である。報告対象事業体自体が当該計画である場合、スポンサーとなる雇用主も報告対象事業体に関連している。
  • 当該事業体は、(a)に該当する者によって支配されるか、または共同支配される。
  • (a)(i)に該当する者は、当該事業体に対して重要な影響力を有するか、当該事業体(または当該事業体の親会社)の主要な管理職である。
  • 当該事業体、または当該事業体が属するグループのメンバーは、報告対象事業体または報告対象事業体の親会社に対して、主要な管理職の人事サービスを提供している。

いずれの場合においても、事業体間の関係の本質を考慮すべきである、ただ単に法的形式に留まるべきではない。

フィリピンは、フィリピン内国歳入庁BIR公布したRevenue Regulations No. 19-2020により、関連者間取引(Related Party Transactions)の範囲を定義しています。

同規則では、Form 1709(Related Party Transactions Form)の作成・提出にあたり、関連者の判定基準として、支配関係、共同支配、重要影響力、ならびに主要経営関与有無を重視しています。

具体的には、以下のような関係にある当事者間の取引が、移転価格上の関連者間取引として把握されます。

  • 個人との関係
    個人またはその近親者が、納税者に対して支配・共同支配または重要な影響力を有する場合、あるいは当該個人が納税者または親会社の主要な管理職である場合。
  • 事業体との関係
    親会社・子会社・同系子会社、関連会社、合弁会社など、支配または重要な影響力を通じて同一グループに属する事業体。また、共通の第三者の支配下にある事業体間の取引も含まれます。
  • その他の実質的関与がある場合
    主要な管理職に関する人事サービスを提供する事業体や、従業員給付制度など、取引条件に実質的な影響を及ぼし得る関係が存在する場合。

OECDとの協調状況

OCDガイドライン等への準拠状況

フィリピンはOECDの加盟国ではないが、概ね準拠している。

OECD/G20 BEPS包摂的枠組(IF)の参加国かどうか

No

MCAAへの署名状況

No

文書化制度の概要

フィリピンは、移転価格文書化に関してBEPS行動13を適用していません。
文書化規定の概要は下表の通りとなっています。なお、ローカルファイルにつき、OECDフォーマットは適用されていません。

CbCR

制度の有無
通知の要否
報告期限
※報告対象期間の最終日を基準とした場合
代理親会社による提出の可否
罰則の有無

MF

制度の有無
OECD形式で充足するか
作成等の要請
罰則等の有無

LF

制度の有無
OECD形式で充足するか完全充足
作成等の要請同時文書化+提出・提供(準備)
罰則等の有無

参考資料等

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