ブラジル Brazil– 各国の移転価格税制 –

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最近の動向

ブラジルでは、移転価格税制が劇的に変化しました。2023年6月に法律第14,596号が成立し、従来の固定マージン法を廃止してOECD移転価格ガイドラインが基準とする独立企業間原則を導入しました 。この新制度は2023年からの早期適用を経て、2024年1月1日よりすべての納税者に完全に義務化されました 。

新制度はブラジルをグローバルなバリューチェーンに統合し、二重課税・二重非課税の排除することを目指すものとされており、同国の移転価格税制を多くの国が参考・基準にしているOECD標準に近づけるものですが、現地固有の規定もあるため、留意が必要です。

基本情報

税務当局

ブラジル連邦歳入庁(Receita Federal do Brasil、RFB)

移転価格税制の対象取引

ブラジルの移転価格税制は”関連者”を定義したうえで、関連者間の商業的・金銭的な関係を”関連者間取引”として適用されることとなっています。用語の定義はそれぞれ概ね以下のような内容になっています。

1. 関連者の定義

「関連者」は、直接または間接的に、一方の当事者が他方の当事者の管理、支配、または資本に参加している場合、あるいは同一の第三者が両当事者の管理、支配、または資本に参加している場合などを指します。具体的には、以下のようなケースが含まれます。

  • 親会社及び子会社
  • 親会社及びその子会社を含む所得税の計算上、分離納税義務者として取り扱われる法人及び事業部門
  • 関連会社
  • 連結財務諸表に含まれる事業体、又はグループの最終支配株主が連結財務諸表を作成し、その資本が本国の証券市場で取引された場合
  • に含まれる事業体
  • 清算時に、異なる事業体又はその資産から得た利益の少なくとも25%を直接又は間接に受領する権利を有する事業体
  • 直接的又は間接的に共通の支配下にある事業体又は同一の株主若しくは所有者に20%以上の持分を保有される事業体
  • 同一の組合員若しくは株主又はその配偶者、同伴者、親族、血族若しくは三親等までの関係者に20%以上の持分を保有される事業体
  • 事業体及び当該事業体の取締役、役員又は支配株主の配偶者、同伴者又は親族、血族又は三親等までの親族である自然人

出所:デロイトトーマツ税理士法人、“各国・地域の税制概要とホットトピックス ブラジル 令和5年度 経済産業省 委託事業 中堅・中小企業向け「進出先国税制および税務ガバナンスに係る情報提供オンラインセミナー”より抜粋

2. 関連者間取引の定義

関連者間で行われるあらゆる商業的または財務的な関係が対象となります。これには以下の取引が含まれます。なお、ブラジル国内でも関連者間取引は移転価格税制の対象になります。

  • 有形資産の取引:製品、商品、原材料の売買など。
  • 無形資産の取引:ロイヤリティ、ライセンス料、無形資産の譲渡など。
  • サービスの提供:管理サービス、技術支援サービスなど。
  • 金融取引:借入金・貸付金の利息、保証料など。
  • コストシェアリング(コスト分担契約)

OECDとの協調状況

OCDガイドライン等への準拠状況

ブラジルはOECD加盟国ではないが、2024年1月1日より、移転価格税制を正式に変更し、OECDの枠組みに整合させた。

OECD/G20 BEPS包摂的枠組(IF)の参加国かどうか

Yes

MCAAへの署名状況

Yes

文書化制度の概要

ブラジルは、2024年度より移転価格文書化に関してBEPS行動13を適用している。
文書化規定の概要は下表の通りとなっている。

CbCR

制度の有無
通知の要否
報告期限
※報告対象期間の最終日を基準とした場合
申告期限
代理親会社による提出の可否N/A
罰則の有無

MF

制度の有無
OECD形式で充足するか充足
作成等の要請提出
罰則等の有無

LF

制度の有無
OECD形式で充足するかOECD+α
作成等の要請提出
罰則等の有無

なお、OECDフォーマットとの重要な相違点として、以下のような点が挙げられます。

マスターファイル/ ローカルファイル

分析対象年度の直前に報告された対象取引の金額に基づき、ローカルファイルおよびマスターファイルの提出方法と形式にルールが設けられるなど、独自の規定あり。準備義務を課す国・地域が多い中、MFもLFも提出義務がある点においても特徴がある。

加えて、RFBウェブサイトにはローカルファイルの提出に関する特定のフォーマットが用意されており、報告された取引分析に応じてセクションを分割する必要がある。

参考資料等

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