最近の動向

イタリアでは、2020年11月23日に公布された移転価格文書化に関する新規則により、従来の制度が全面的に改訂されました。この規則は、OECD移転価格ガイドラインおよびBEPS行動13との整合性を確保するとともに、文書の作成時点の確実性(同時文書化)を担保することを目的としたものとされています。
また、これにより、罰則免除制度が大幅に強化・明確化され、適切な移転価格文書を整備し、かつ年次所得税申告書において当該文書の存在を適時に開示している納税者は、一定の要件の下で移転価格調整が行われた場合であっても、行政罰から保護されることとなりました。この新規則は、2020年移転価格税制公布日時点で進行中の会計年度(暦年ベースの会計年度を採用する法人の場合、2020年度)およびそれ以降の会計年度に関連する罰則免除文書に適用されています。
本制度の運用については、通達15/E(2021年11月26日公布)により詳細な解釈が示されています。
一連の改正に基づくイタリアの文書化制度の主な特徴として、以下のような点が挙げられます。
文書化制度の主な特徴
- マスターファイルおよびローカルファイルは、OECD BEPS行動13に沿った内容構成を採用
- 罰則免除を受けるためには、以下を申告期限までにデジタル署名およびタイムスタンプ付きで作成する必要がある
- ローカルファイル(イタリア語)
- マスターファイル(イタリア語または英語)
- 税務当局から要求を受けた場合、文書の提出期限は20暦日以内(従来よりも延長)
- 納税者は、文書に記載する国境を越えた関連者間取引を選択することが可能。ただし、罰則免除は記載された取引に限定
- 低付加価値役務提供については、5%マークアップを前提とするOECDの簡素化アプローチが認められ、専用の文書化セットが導入されています
基本情報
税務当局
イタリア歳入庁(Italian Revenue AgencyあるいはAgenzia delle Entrate、AdE)
移転価格税制の対象取引
イタリアでは、居住企業・非居住企業を問わず、一方の企業が他方の企業の経営、支配または資本に直接又は間接的に参加している場合、そのような関係を有する者の間で行われる取引を関連者間取引として移転価格税制の適用対象としています。「支配」には、法的支配に加え、事実上の支配や決定的影響力も含まれます。
OECDとの協調状況
OCDガイドライン等への準拠状況
OECD加盟国であり、概ね準拠している。
OECD/G20 BEPS包摂的枠組(IF)の参加国かどうか
Yes
MCAAへの署名状況
Yes
文書化制度の概要
イタリアは、移転価格文書化に関してBEPS行動13を適用しており、文書化規定の概要は下表の通りです。
CbCR
| 制度の有無 | 有 |
|---|---|
| 通知の要否 | 要 |
| 報告期限 ※報告対象期間の最終日を基準とした場合 | 12カ月以内 |
| 代理親会社による提出の可否 | N/A |
| 罰則の有無 | 有 |
MF
| 制度の有無 | 有 |
|---|---|
| OECD形式で充足するか | No |
| 作成等の要請 | 同時文書化+提供(準備) |
| 罰則等の有無 | 有 |
LF
| 制度の有無 | 有 |
|---|---|
| OECD形式で充足するか | No |
| 作成等の要請 | 同時文書化+提供(準備) |
| 罰則等の有無 | 有 |
なお、OECDフォーマットとの重要な相違点として、以下のような点が挙げられます。
マスターファイル/ ローカルファイル
イタリアでは、罰則回避の観点から、マスターファイルとローカルファイルの両方について、章・段落・小段落の構成において特定のフォーマットでの作成が要求されています。
なお、CbCRについては、重要な相違点はありません。

