ベルギー Belgium– 各国の移転価格税制 –

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最近の動向

ベルギーでは、2016年7月1日以降に開始する事業年度から、移転価格文書化義務が導入されており、OECD/G20 BEPSプロジェクト行動13に沿った報告の枠組み(CbCR、マスターファイル、ローカルファイル)が適用されています。
2020年には、移転価格に関する回状(Circular 2020/C/35)が公表され、OECD移転価格ガイドラインの主要論点が整理されるとともに、必要に応じてベルギー税務当局の解釈が示されました。
また、近年、税務当局の移転価格専門チームは大幅に拡充されており、文書化要件を遵守していない企業は、移転価格調査の対象に選定されるリスクが高まっています。
さらに、2019会計年度以降、税務調査等により増額された課税標準については、原則として繰越欠損金等の税務属性による相殺が認められない制度が導入されています。これにより、移転価格調整は実質的なキャッシュアウトにつながりやすくなっている点が、ベルギーの実務上の重要な特徴です。

基本情報

税務当局

ベルギー財務省 税務当局(Federal Public Service Finance/General Administration of Taxes)

移転価格税制の対象取引

ベルギーの移転価格税制は、相互依存関係にある企業間取引を対象とします。この相互依存の概念は広く解釈され、法的な支配関係に限らず、事実上又は経済的な相互依存関係(例:共同経営、実質的な影響力)も含まれます。
そのため、形式上は独立している企業間取引であっても、実質的な相互依存が認められる場合には、独立企業間原則に基づく検証が求められる可能性があります。

OECDとの協調状況

OCDガイドライン等への準拠状況

ベルギーはOECD加盟国であり、概ね準拠している。

OECD/G20 BEPS包摂的枠組(IF)の参加国かどうか

Yes

MCAAへの署名状況

Yes

文書化制度の概要

ベルギーは、移転価格文書化に関してBEPS行動13を適用している。
文書化規定の概要は下表の通りとなっている。

CbCR

制度の有無
通知の要否
報告期限
※報告対象期間の最終日を基準とした場合
12カ月以内
代理親会社による提出の可否N/A
罰則の有無

MF

制度の有無
OECD形式で充足するかOECD+α
作成等の要請同時文書化+提出
罰則等の有無

LF

制度の有無
OECD形式で充足するかOECD+α
作成等の要請同時文書化+提出
罰則等の有無

なお、OECDフォーマットとの重要な相違点として、以下のような点が挙げられる。

CbCR

CbCRの内容自体はOECDフォーマットと概ね一致しています。ただし、2025年1月1日以降に開始する事業年度から、制度運用および技術的要件に関する更新が行われており、提出データの整合性や品質に対する要請は一層高度化しています。

マスターファイル

マスターファイルについては、専用フォーム(Form 275 MF)を用い、税務当局の電子プラットフォームを通じて提出することが義務付けられています。この点は、OECDが想定する自由形式の文書提出とは異なる、ベルギー特有の特徴です。

さらに、2024年6月16日付王法に基づき公表された96項目の詳細な解説において、マスターファイルの記載内容、とりわけグループ・バリューチェーン、機能分析(DEMPE機能を含む)、グループ内資金調達に関する説明が明確化されました。これらの要請は、OECDテンプレートの記載水準を超える実務的な深度を求めるものとなっています。

ローカルファイル

ローカルファイルの内容面はOECDローカルファイルと概ね整合していますが、ベルギーでは取引類型ごとの詳細な定量情報を専用フォーム(Form 275 LF)により申告することが求められます。このため、実務上はOECDフォーマット以上に定型化・数値主導の文書化対応が必要となります。

参考資料等

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