タイ Thailand– 各国の移転価格税制 –

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最近の動向

点が注目される。状況に応じて、国別報告書は会計期間終了後12ヶ月以内、または税務調査局(TRD)からの書面による要請受領後60日以内に提出すべきである(下記7c参照)。

TRDは移転価格法の適用に関する追加発表を行う予定であり、その内容は以下の通りである。

• マスターファイルの内容、提出期限、収益基準に関する詳細なリストの公表;

• 移転価格事前価格(APA)の撤回;

• 事前確認(APA)及び相互協議手続(MAP)案件における国内税還付の所定期間の延長。

タイでは、2018年末の税制改正により移転価格税制が導入され、2019年1月1日以降に開始する事業年度から関連当事者間取引に対する規制が適用されています。その後、下位法令および実務ガイダンスが段階的に整備され、制度運用が明確化されてきました。

2021年10月には、タイ国税庁(TRD)が国税庁長官通知(DG Notification)を発出し、移転価格文書化および国別報告書に関する要件が整理されています。いずれも2021年1月1日以降に開始する会計期間に適用されます。

  • DG Notification No. 407(2021年10月4日)
    ローカルファイル(現地ファイル)に記載すべき事項の詳細を定め、税務当局からの要請があった場合に提出義務が生じることを明確化しています。ローカルファイルは、要請に応じてタイ語での提出が求められる点が特徴です。
  • DG Notification No. 408(2021年10月15日)
    一定規模以上の多国籍企業グループに対し、国別報告書(CbCR)の提出義務を規定しています。CbCRは、原則として会計期間終了後12か月以内に提出する必要があり、税務当局から書面による要請があった場合には、所定期間内(通常60日)での提出が求められます。

これらの要件は、OECDのBEPS Action 13に沿った枠組みと概ね整合していますが、タイでは2025年10月現在、マスターファイルの準備・提出義務は導入されていません(制度の導入検討は進められているとされています)。一方で、ローカルファイルおよびCbCRを通じた情報開示は強化されており、実務上はグループ全体の移転価格ポリシーを踏まえた事前的な対応が重要となっています。なお、ローカルファイルは、当局からの要請に応じてタイ語で提出する必要があります。 また、事前価格確認(APA)および相互協議手続(MAP)については制度として継続されており、近年は手続面の明確化・運用改善が進められています。

基本情報

税務当局

タイ国税庁(Thai Revenue Department、TRD)

移転価格税制の対象取引

タイの移転価格税制は、関連者(related parties)間で行われる取引を対象とします。関連者の定義は、タイ歳入法典に基づき、主として出資比率および支配関係に着目して判断されます。
具体的には、以下のいずれかに該当する場合、当事者は移転価格税制上の関連者とみなされます。

  • 直接または間接に、他の法人の株式または資本の50%以上を保有している場合
  • 一方の法人が他方の法人を支配している、または両者が同一の者の支配下にある場合
  • 株式保有、経営またはその他の支配関係を通じて、当事者が相互に関連し、独立して行動できないと認められる場合

このように、タイの移転価格税制では、形式的な持分基準(50%)を中心としつつ、実質的な支配関係も考慮して関連者該当性が判断されます。そのため、グループ内取引やクロスボーダー取引においては、出資構造と実態の双方を踏まえた事前の整理が重要となります。

OECDとの協調状況

OCDガイドライン等への準拠状況

タイの移転価格関連規制やガイドラインの大半は、一般的にOECDガイドラインに準拠している。タイはOECDの加盟国ではないが、加盟手続きが進行中。

OECD/G20 BEPS包摂的枠組(IF)の参加国かどうか

Yes

MCAAへの署名状況

Yes

文書化制度の概要

タイは、移転価格文書化に関してBEPS行動13を適用している。
文書化規定の概要は下表の通りとなっている。

CbCR

制度の有無
通知の要否
報告期限
※報告対象期間の最終日を基準とした場合
12カ月以内
(外資子会社等は要請から60日以内)
代理親会社による提出の可否
罰則の有無

MF

制度の有無
OECD形式で充足するか
作成等の要請
罰則等の有無

LF

制度の有無
OECD形式で充足するかOECD +α
作成等の要請提供(準備)
罰則等の有無

なお、OECDフォーマットとの相違点として、CbCRについては重要な相違点はなく、ローカルファイルについては基本的にフォーマット通りではあるものの、追加的な記載要件も課されている。

参考資料等

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