最近の動向

ニュージーランドでは、BEPS対応の法改正により移転価格ルールが強化され、2018年7月1日以降に開始する課税年度以降について、移転価格実務が厳格化されています。近年の改正における主なポイントは以下の通りです。
- 立証責任の納税者側への転換
移転価格調整に関する立証責任は、一定の所得年から税務当局ではなく納税者側が負うこととなった。これにより、価格設定の妥当性を説明できる分析・文書化の重要性が増加(税務情報速報第31巻第3号12頁(TIB – April 2019)ないしTransfer Pricing Rules)。 - 更正可能期間(time bar)の延長(TPは最長7年)
税務当局が課税上のポジションを見直せる期間は原則課税年度の終了日から起算して4年だが、移転価格については、当局が4年以内に通知した場合などに7年まで延長できることとなった。 - OECDガイドラインとの整合性の強化(最新版を前提に運用)
ニュージーランドの移転価格ルールは、OECD移転価格ガイドラインに整合して適用されることが示された(BEPSのミニマムスタンダード(国別報告事項(CbCR)やタックス・ルーリングの情報交換など)は導入済み)。 - 国境を越える関連者間借入に対する「制限付きアプローチ」
元本総額が1,000万ニュージーランドドルを超える非居住者からの関連者間借入(NZ居住者が借手)については、利子控除制限と一体で、restricted approachに基づく価格設定が求められる。 - PE(恒久的施設)回避への国内反避税規則(大規模MNE対象)
ニュージーランドはBEPS防止措置実施条約(MLI)に署名・批准し、恒久的施設(PE)の新たな定義を採用しているが、PEについては、MLIの適用関係に加え、一定の要件を満たす場合にPE認定する国内反避税規則が導入した。適用対象は主に大規模多国籍企業(全世界総収入EUR 7.5億超)に限定。 - 情報開示・提出対応の高度化(BEPS disclosure等)
ハイブリッド・ミスマッチや利子制限等が関係する場合、BEPS disclosure(myIRで提出)が求められる。
なお、2018年関税・物品税法における暫定価値制度(provisional values scheme)は、輸入時に課税価格を確定できない場合、特定の輸入業者について輸入申告書に合理的な価値見積もりを記載することを認めており、移転価格について適切な取り決めを行っている輸入業者は、この暫定価値制度の適用を申請できることとされています。 また、税務当局は特定の納税者より質問状(International Questionnaire)を通じて移転価格リスクに関する情報を収集し、調査案件の選定に活用しているとされています。
基本情報
税務当局
内国歳入庁(Te Tari Taake, IR)
移転価格税制の対象取引
ニュージーランドの所得税法(Income Tax Act)では、移転価格税制の適用にあたり、「関連者(associated persons)」の範囲を広く定義しています。
会社間取引については、議決権、価値持分または収益持分の50%超を直接または間接に保有するグループが存在する場合、または契約その他の手段により実質的な支配が認められる場合、当該会社は相互に関連者とみなされます(Part YB)。
また、ニュージーランドの関連者規定は、会社に限られず、個人、パートナーシップ、信託を含む多様な主体間の関係を網羅的に規定しており、形式的な持分構造だけでなく、実質的な関係性や影響力が重視されます。
さらに、所得税法における特別な租税回避防止規定(section GB 2)により、移転価格税制の趣旨を潜脱することを目的または効果とする取決めについては、税務当局がその取扱いを否認し、アームズ・レングス原則に基づく価格調整を行うことが可能とされています。
OECDとの協調状況
OCDガイドライン等への準拠状況
ニュージーランドはOECDの加盟国であるので、概ね準拠している。
OECD/G20 BEPS包摂的枠組(IF)の参加国かどうか
Yes
MCAAへの署名状況
Yes
文書化制度の概要
ニュージーランドは、移転価格文書化に関してBEPS行動13を適用している。
文書化規定の概要は下表の通りとなっている。
CbCR
| 制度の有無 | 有 |
|---|---|
| 通知の要否 | 不要 |
| 報告期限 ※報告対象期間の最終日を基準とした場合 | 12カ月以内 |
| 代理親会社による提出の可否 | N/A |
| 罰則の有無 | 有 |
MF
| 制度の有無 | 有 |
|---|---|
| OECD形式で充足するか | 完全充足 |
| 作成等の要請 | 提供(準備) |
| 罰則等の有無 | 有 |
LF
| 制度の有無 | 有 |
|---|---|
| OECD形式で充足するか | 完全充足 |
| 作成等の要請 | 提供(準備) |
| 罰則等の有無 | 有 |
なお、いずれの文書についても、特にOECDフォーマットとの重要な相違点はない。

