南アフリカ South Africa– 各国の移転価格税制 –

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最近の動向

南アフリカの移転価格税制は、所得税法第31条に基づき運用されています。2022年の税制改正により同条が改正され、2023年1月1日以降に開始する課税年度から、移転価格規定の適用範囲が拡張されました。

改正後の制度では、従来のクロスボーダー関連当事者取引に加え、OECDモデル租税条約第9条の考え方に沿って定義される「関連企業(associated enterprises)」間の取引についても、独立企業原則に基づく検証が求められます。

ここでいう関連企業とは、一方の企業が他方の企業の経営、支配、又は資本に直接又は間接に影響を及ぼす関係、または同一の者が双方の企業に対してそのような影響力を行使できる関係を指します。 この改正により、南アフリカの移転価格税制は、OECD標準との整合性を一層高めるとともに、取引の地理的区分(国内・国外)よりも、当事者間の関係性と取引条件の独立性に着目する枠組みへと進化しています。

基本情報

税務当局

南アフリカ国税庁(South African Revenue Service、SARS)

移転価格税制の対象取引

南アフリカの移転価格税制では、取引当事者が「関連している(connected/associated)」か否か**が重要な判断要素となります。関連性の判断は、資本関係に限られず、経営・支配・実質的な影響力を含めて広く行われます。

具体的には、当事者の所有関係、意思決定への影響力、取引条件に対する支配の有無等が総合的に考慮されます。そのため、比較的低い持分割合であっても、実質的な影響力が認められる場合には、移転価格上の関連者に該当する可能性があります。

さらに、2022年の税制改正により、OECDモデル租税条約第9条に基づく「関連企業(associated enterprises)」の概念が国内法に明示的に取り込まれ2023年1月1日以降に開始する課税年度から、これらの関連企業間取引についても移転価格規定が適用されます。 この改正により、南アフリカの移転価格税制は、取引の国内・国外を問わず、当事者間の関係性と取引条件の独立性に着目する枠組みへと拡張され、OECD標準との整合性が一層高められています。

OECDとの協調状況

OCDガイドライン等への準拠状況

南アフリカはOECD加盟国ではないが、概ね準拠している。

OECD/G20 BEPS包摂的枠組(IF)の参加国かどうか

Yes

MCAAへの署名状況

Yes

文書化制度の概要

南アフリカは、移転価格文書化に関してBEPS行動13を採用していないものの、概ねOECDフォーマットと同様の各種文書が求められています。
文書化規定の概要は下表の通りです。

CbCR

制度の有無
通知の要否
報告期限
※報告対象期間の最終日を基準とした場合
12カ月以内
代理親会社による提出の可否N/A
罰則の有無

MF

制度の有無
OECD形式で充足するか概ね充足
作成等の要請同時文書化+提供(準備)
罰則等の有無

LF

制度の有無
OECD形式で充足するか概ね充足
作成等の要請同時文書化+提供(準備)・提出
※所定の居住者のみ提出義務
罰則等の有無

なお、文書化義務を負う法人等は、グループ構成や関連者取引の内容、移転価格方針等に関する一定の情報を、法人税申告書(ITR14)の電子申告フォーム上で詳細に開示することが求められています。これらの開示項目は、実務上、マスターファイルやローカルファイルに含まれる情報と重複する部分が多く、eFiling上で個別に入力する形式となっている点については留意が必要です。

参考資料等

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