移転価格課税と寄附金課税

グループ企業間海外取引での寄附金課税の増加

中小・中堅企業を対象とした海外取引に係る調査が増える中、移転価格税制に基づく課税以上に寄附金課税を受ける企業が多くなっているようです。東京国税局所管の課税事案でみると、およそ6~8割が寄附金課税、2~4割弱が移転価格課税によると言われています。

その要因の一つが、移転価格税制あるいは寄附金課税の認知度がまだそれほど高くないことが挙げられます。例えば、設立間もない海外子会社の立ち上げや負担軽減等のために、日本法人が無償で出張支援等の役務を提供したりしているような場合に行われることが多く、「独立企業間のように対価の授受を行うべき」とする移転価格税制の発想がないことによって課税に至るケースが多いことは、その証左です。

また、寄附金課税は原則として国内法上の問題と整理されることから、海外当局を巻き込んだ相互協議に発展しづらく、税務当局内で早期決裁に至りやすいことも一因かもしれません。

寄附金課税の特徴

移転価格税制はあいまいな部分が多い税制です。そのため、当局が課税判断を行う際には入念な事実認定が行われます。そのため調査期間は長期化傾向があり、半年から2年以上かかるものまであります。

一方、海外法人の役職兼務・出張支援に係る対価を得ていない場合や、契約で定められたロイヤルティ、マネジメントフィーを徴求していない場合など、明らかに経済的な利益の供与が認められる取引については、短期間で寄附金として課税処理(修正申告慫慂を含む)されるケースが多いように思われます。このように、寄附金課税は比較的明らかに問題が認められるようなシチュエーションで適用されることが多いものであるといった特徴があります。